公認会計士とサステナビリティ

基準動向

昨今、SDGs、ESG、サステナビリティというワードがビジネス界隈でもホットとなっていますね。

耳触りの良いバズワードとして捉えられている側面もありますが、実は比較的お堅いとイメージされるであろう公認会計士の界隈においても盛り上がりを見せているトピックなのです。

私は公認会計士として独占業務である監査に従事していますが、監査の対象となる企業等の財務情報だけでなく、非財務情報、とりわけサステナビリティ情報の重要性が急激に高まっていることを実感しています。

リスキリングというワードも流行していますが、私もニュータイプの会計士になれるようサステナビリティについて学んでいる最中でして、自身のアウトプットの場として本サイトを活用しつつ、あわよくばどなたかの参考にもなれば良いな、という思いで記事を書いています。

なお、サステナビリティに関する情報は日々刻々と変化しており、あくまで投稿時点の情報を参照していることにご留意ください。

有価証券報告書におけるサステナビリティ情報開示のスタート

サステナビリティ情報の重要性が急激に高まったことで、実際に国内のルールメイキングも着々と進んでおり、2023年3月期の有価証券報告書からサステナビリティに関する開示が求められることとなりました。

「企業内容等の開示に関する内閣府令」等の改正案に対するパブリックコメントの結果等について

金融庁には延べ351件、PDFにして98ページに及ぶコメントが寄せられていることからも、この急激なスピード感に驚いている関係者は多いことが想像できます。私もその1人ですので。

さらにこれで終わりではなく、より詳細なルールを定めたサステナビリティ開示基準の開発も進められており、2026年3月期からの早期適用を目指すスケジュールとなっています。

https://www.asb.or.jp/jp/project/plan-ssbj.html

しかし、やはりサステナビリティ開示基準の開発は欧州が先行していることもあり、横文字が本当に多いですね。(イキっているわけではなく、純粋に横文字が多いのです・・・)

公認会計士がサステナビリティ情報の信頼性を保証?

有価証券報告書はステークホルダーにとって重要な開示書類の1つであり、財務情報パート(経理の状況)については公認会計士が監査を実施することで信頼性を担保しています。

一方、上記のサステナビリティ情報は非財務情報パートで開示され、基本的に監査の対象とはなりません。(一応補足ですが、監基報720云々については書き始めるとキリがないので割愛します。)

つまり、サステナビリティ情報の重要性が高まっているにも関わらず、現行制度上、その情報の信頼性にお墨付きを与える担い手が不在となっている状況なのです。

こうなると、財務情報パートにお墨付きを与えている公認会計士が非財務情報パートにもお墨付きを与えれば良いのでは?という話になるのは自然な流れと言え、日本公認会計士協会でも専用サイトが開設されています。

Sustainability Action 日本語ホームページ - 日本公認会計士協会
プロフェッショナルパートナーとして、信頼を紡ぎ、豊かな社会を創造し、未来を拓きます。 SDGs宣言 公認会計士とともに、サステナブルな社会の実現へ。 将来の予測が難しく「確かなもの」が見えにくい現在、社会における「信頼」

とはいえ、現在の公認会計士がサステナビリティに関する十分な教育を受けているわけではないので、協会としてもこれから力を入れていく姿勢のようです。(試験科目に「サステナビリティ」が入ったりもするのでしょうかね・・・)

サステナビリティと一口に言っても、日本で特に注目されている気候変動や人的資本に留まらず、汚染、水、生物多様性、循環型経済、人権など多くの領域があり、これらをどのように、どの範囲でカバーしていくかもポイントとなりそうです。

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