こちらの記事で国際的なサステナビリティ開示基準の開発が進められており、日本でもこの潮流を受けた検討が進められていると紹介しました。
日本が開発中のサステナビリティ開示基準は2026年3月期からの早期適用を目指していますが、そもそもこの基準は誰が開発しているのでしょうか。
ISSB、SSBJなど様々な略語が存在しており、何が何だか分からなくなってしまわないよう、改めて整理してみたいと思います。
なお、サステナビリティに関する情報は日々刻々と変化しており、あくまで投稿時点の情報を参照していることにご留意ください。
IFRS財団とサステナビリティ
公認会計士の方であれば、IFRS財団とFASF(財務会計基準機構)はご存知かと思います。
会計基準開発の監督を行う組織とイメージされがちですが、実はその下にサステナビリティ開示基準の開発を行う組織も存在しているのです。
さて、略語がたくさん出てきましたが、まだ心が折れるには早いです。
要するに、国際的には会計基準とサステナビリティ開示基準を設定する組織が並列に存在する形となっており、日本もその形を踏襲しています。
一応、気になる方向けに、それぞれの略語について正式名称を記載しておきますね。
IASB:International Accounting Standards Board(国際会計基準審議会)
ISSB:International Sustainability Standards Board(国際サステナビリティ基準審議会)
ASBJ:Accounting Standards Board of Japan(日本の企業会計基準委員会)
SSBJ:Sustainability Standards Board of Japan(日本のサステナビリティ基準委員会)
財務情報との結合性(コネクティビティ)
ISSBからは2022年3月31日にサステナビリティ開示基準の公開草案が公表されており、公認会計士が強みを発揮できると思われる財務情報との結合性について言及があります。
公開草案においてサステナビリティ開示は財務諸表を補完するものと位置付けることを提案しているため、IASBとISSBは緊密に協力して基準開発を行う必要があります。
投資家等のステークホルダーの意思決定に役立つ情報を提供するためには、会計基準とサステナビリティ開示基準がしっかりと結びつくような組織構造が必要という整理ですね。
例えば、サステナビリティ開示においては脱炭素の世界を想定しているにも関わらず、実際にはCO2を大量に排出する設備を使っている場合、会計上は減損しなくていいんでしたっけ?という議論になる可能性もありますね。
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