ワークライフバランスの重視で病む?

人的資本

最近、「ワークライフバランスの重視」=「仕事をなるべく頑張らない」という価値観が蔓延している気がしており、かく言う私も仕事をしているとき、しばしば「このままでいいのだろうか?」と思うことが増えてきました。

今の仕事に大きな不満があるわけではありませんが、日曜日の夜になると「明日から仕事か・・・」と憂鬱な気持ちになりますし、仕事をしている最中でも「独立開業すればもっと自由に過ごせるかな・・・」などとモヤモヤ考えてしまうんですよね。

ただ、これは考えているようで何も考えておらず、勝手に自分の中にモヤモヤを溜め込んで人知れず病んでいくコースだと思ったので、この現状を打破すべく、色々と整理してみることにしました。テーマを人的資本としていますが、これが今後の人材戦略においても留意すべきポイントだと思っているためです。

なお、私は心理学の専門家でも何でもなく、あくまで私見に過ぎない点はご承知おきください。

SNSの発達による他人との比較

よく言われていることですが、TwitterやYoutubeなどSNSが発達したことで、縁もゆかりもない多くの他人の人生を覗き見できるようになりました。

私はYouTubeをよく見ますが、例えば、キャンプや日本一周をしながら暮らしているYouTuberの動画を見ていると「いいなぁ、私もこんな風に過ごせたらなぁ」などと考えてしまい、月曜日からの仕事が憂鬱になったりします。

もちろん、YouTuberの方々は裏側で途方もない苦労をされていると思いますが、まさしく隣の芝生は青く見えるというやつですね。(私もYouTubeへ動画投稿した経験がありますが、あっけなく挫折しました)

SNSが発達する前はこういった他人の人生を覗き見することが少なかったので、自分の人生に没頭できていましたが、現代はスマホを開けば他人の人生を簡単に覗き見できるので気が散ってしまい、自分の人生(特に仕事)とのギャップを感じてなんとなくモヤモヤを溜めてしまう構図なのだと思っています。

こうなるとライフを充実させることでモヤモヤを解消しようとするので、仕事をなるべく頑張らないようにしますが、結局ライフをどのように充実させて良いか分からず、ワークもライフも中途半端になってしまい、余計に病むというケースが多いように感じています。

「ワークライフバランスを重視しています!」と言っている方に「ライフでは何をしているんですか?」と聞くと何故か黙ってしまう、という例を私の周りだとそれなりに見ます。

没頭していればモヤモヤは溜まらない

少し昔を振り返りますと、私が若手会計士として働いていた頃はコロナ禍の前だったので、毎日クライアント先かオフィスへ出勤していました。出勤すればクライアントの方から突然相談されることもありますし、上司もいるので一定の緊張感があります。

一定の緊張感があると、余計なことを考える暇もなく作業に没頭できます。当時はまだ残業規制がそこまで厳しくなかったこともあり、繁忙期は日付が変わるまで働いていましたが不思議と苦ではありませんでしたし、帰路の電車で会計基準を調べる元気もありました。(脳みそから湯気は出ていたと思います)

何故こんなことが出来ていたのか考えると、若かったから、根性があったから、ではなく、仕事に没頭できていたからだと思います。改めて会計士試験に合格できた要因を振り返ってみても、勉強に没頭できていたからだと思います。そして、没頭していた時間にはいずれも充実感がありました

「没頭」がキーワードだと思ったのでAmazonを物色し、こちらの本を読んでみました。

https://www.amazon.co.jp/%E6%B2%A1%E9%A0%AD%E5%8A%9B-%E3%80%8C%E3%81%AA%E3%82%93%E3%81%8B%E3%81%A4%E3%81%BE%E3%82%89%E3%81%AA%E3%81%84%E3%80%8D%E3%82%92%E8%A7%A3%E6%B1%BA%E3%81%99%E3%82%8B%E6%8A%80%E8%A1%93-%E5%90%89%E7%94%B0%E5%B0%9A%E8%A8%98-ebook/dp/B079Z4SLM4/ref=tmm_kin_swatch_0?_encoding=UTF8&qid=&sr=

没頭するための3つの条件が紹介されており、個人的には非常に腑に落ちました。

  • ゴールとルールがはっきりしていてフィードバックが早いこと
  • その場の状況を自分でコントロールできていること
  • 自分の持っているスキルと行為のバランスが取れていること

さて、現代はリモートワークが主流になっていますが、果たしてこれらの条件を満たしているでしょうか?私が従事している監査業務で新人会計士のリモートワークを前提として考えると、残念ながら1つも当てはまっていないと思います。

中堅レベルであれば状況を自分でコントロールできるので、リモートワークに大きな害がないと言われているのも多少納得できます。ただ、自分にとってチャレンジとは言えない仕事を惰性で継続していると、スキルと行為のバランスが取れないので没頭できずダラダラ過ごしてしまい、モヤモヤを抱えてしまうことに繋がりそうです。

そして、没頭に入る3ステップも紹介されています。

  1. ストレスをかける(不安)
  2. 一気にリラックス(開き直り)  
  3. 目の前のやるべき行為に集中する(没頭)

自宅で仕事をしていると、クライアントや上司から突然話しかけられることもなく、ストレスがない素晴らしい環境と言えそうですが、仕事に没頭は出来ないので、勤務時間中にSNSを見てしまったりして罪悪感とモヤモヤを抱えることに繋がりそうです。

ではどうすれば仕事に没頭、ひいてはモヤモヤを溜めずに日々を過ごせるか。結局のところ、目の前の仕事に没頭できるよう、自分で条件とステップを揃えていくしかないと思います。どう頑張っても今の仕事で没頭できる条件を揃えられそうもない、と結論が出れば転職するなり独立してしまえば良いのではないでしょうか。

「やりたいことをやれ」とも言われますが、私は自分のやりたいことなど分からないので、一旦は今の仕事に没頭できるよう努力することを決めました。もしやりたいことが見つかればそちらへ進むと思いますが、現時点の自分ルールを設定しないと毎日モヤモヤしてしまいそうなので。

ちなみに、私は人生を仕事で埋め尽くせ!などと言うつもりは毛頭なく、結局仕事しないといけないのであれば、せめて充実感のある時間にしたいですね、という意味で「没頭」というキーワードを掘り下げています。ライフを極めるのも素晴らしいことですが、今の私には出来ないという判断です。

おまけ:最近の若いもんのメンタル

「最近の若いもんはメンタルが弱すぎる」などとSNSでよく言われていますが、デジタルネイティブの宿命なのか、勝手に多くの他人と自分の人生を比較しているので、そりゃ病むでしょ、と思います。

私自身もゆとり世代ですが、おじさん世代が若者を潰しているわけではなく(理不尽すぎるパワハラ等は別にして)、勝手に自分の中でモヤモヤを溜め込んで人知れず病んでいる方が多いのではないでしょうか。

逆におじさん世代は多感な若い頃にSNSで多くの他人と自分の人生を比較した経験がないので、若者が病む理由など分からないでしょう。ただ、私も含めておじさん世代の上司からの何気ない一言で傷付いている若者もいますので、今後このあたりの対処法についても学んでいきたいと思っています。

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